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注文住宅を建てる時に交わす『契約約款』とは

注文住宅を建てるとき、工事をする会社と工事請負契約を結びます。このとき、「工事請負契約書」の他に「工事請負契約”約款”」という書類にも目を通さなくてはなりません。
法律のように難しい言葉がズラズラと並んでいるため、つい読み飛ばしたくなりますが、これには極めて大切なことが書かれています。
理解せずにサインしてしまうと、後で大きなトラブルに発展することもあるため、しっかりと内容を確認する必要があります。
特に重要なポイントをまとめたので、参考にしてください。

コンテンツ

  1. 工事請負契約約款とは
  2. 契約約款でチェックすべき点
  3. まとめ

工事請負契約約款とは

契約書本文には記載されない、より細かな取り決めを定めた書類のことで、損害や違約金、解除条件などについて定めています。
一般的に十数ページにわたり、数十条から成ります。契約書の延長のようなもので、契約書と同等に重要なものだと思っておきましょう。

契約約款でチェックすべき点

これを初めて見るのは実際に契約を結ぶとき、というケースが多いかと思います。
きちんとした担当者であれば、重要なポイントを中心に内容を説明してくれますが、稀に「細かいので、後でよく見ておいてください」などと言う人もいるようです。
しかし、一度書類にサインしてしまったら、内容に同意したことになってしまいます。内容を理解しないままサインすることは絶対にやめましょう。
説明があってもなくても、次の点は特によく確認しておく必要があります。

瑕疵担保責任

「住宅に欠陥が見つかったらどうするか」を定める項目です。
住宅品質確保促進法、住宅瑕疵担保履行法という法律により、新築住宅の主要部分(柱や梁、雨水の浸入を防止する部分など)の欠陥は、引渡しから10年間は、工務店やハウスメーカーが無償で補修をしなければならない義務があります。
しかし、それ以外の部分については会社ごとに定められているため、この基準と補償内容、有効期間をチェックする必要があります。期間については、2年間が一つの目安です。

遅延損害金

何らかの理由で工事が遅れた場合、約束した日に引渡しができない場合に、その損害をカバーするための違約金について定める項目です。
工事請負契約の契約金額に対して、年利14.6%を上限に、それを日割りにしたものを請求することが一般的です。つまり、引渡しが一日遅れるごとに、請負金額の0.0004%=2500分の1程度が支払われることになります。
この金額や期間の定めが不明確になっていないか、チェックしましょう。

天災や不可抗力による損害

地震や台風などの天災によって損害が生じた場合に、その責任を負って費用を負担するのは誰か、を定める項目です。
火事を別として、転変地変による損害は注文者・依頼主が負担しなければならないケースが一般的です。
ただし、施工会社で保険に加入している場合は、その保険でカバーできない残りの部分のみが負担範囲になるため、この保険加入の有無は確実に確認しておくべきポイントです。

第三者損害

工事中に、通行人や近隣にケガなどの損害を与えてしまった場合に、誰が責任をとるかを定める項目です。
これは基本的に施工会社が責任を負うようになっており、民法でもそのように定められています。
不明確な書き方だったり、依頼主に責任があるように定められている場合は、指摘する必要があります。

依頼主による契約解除

万が一の事情により、依頼主から契約の解除を申し出て工事を中止する場合のルールを定める項目です。
基本的には細かい条件が定められており、余程の事情がない限りは解約が難しいように定められています。また、ほとんどの場合、施工会社側に問題があったとしても、完成している部分については依頼主が費用を支払う必要があります。
それでも、施工会社に著しく問題がある可能性もゼロではないため、万一のときに依頼主があまりに不利な状況にならないよう、内容を確認しておきましょう。

まとめ

契約書の内容は難解な表現がされていることが多く、「自分にはきっと理解できない」と思い込みがちです。しかしこの記事で説明した項目のように、一つ一つを噛み砕いてみれば、ごく一般的なことが書かれていると分かります。
どんなに不条理な条件でも、法律に違反していない限り、サインをすればそれに同意したことになってしまいます。苦手意識を持たず、一つずつ理解するつもりで、約款はしっかりと読み込みましょう。