注文住宅を購入する方の多くは、住宅ローンを利用することでしょう。
住宅ローンにはさまざまな金利タイプがあり、それぞれにメリットもデメリットもあります。人によっておすすめできる住宅ローンの金利タイプは異なりますので、選び方の参考になるよう、一つずつ簡単に紹介します。
あなたに合う住宅ローンの金利タイプはどれでしょうか。
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住宅ローンは金利のみで判断しない
同じ買い物をするなら、安い方が良いに決まっている───。
そう考えると、つい金利の安い住宅ローンを無条件に選びたくなります。しかし、金利が安いことには当然、理由があるため、「金利が安い=お得である」という認識は改めなくてはなりません。
先に結論をいうと、概ね次のポイントが原則です。
- 低金利の住宅ローンは、変動のリスクが高い
- 変動のリスクが低い住宅ローンは、高金利
どちらが良い、悪い、ということはありません。住宅ローンを利用する人や、利用する時期によって、向き不向きがあるのです。
その判断を正確にできるよう、以下の代表的な金利タイプについて、知識を持っておきましょう。
金利タイプからみる金利の種類
住宅ローンの金利タイプによって、適用される金利や変動の影響が異なるため、ローンの返済額の総額も大きく変わることになります。
- 全期間固定金利型
- 固定金利選択型
- 変動金利型
の3種類の金利タイプについて、概要とメリット・デメリットを簡潔に説明します。
全期間固定金利型
その名のとおり、契約した時の金利が、完済までずっと変わらずに固定されるタイプです。
「フラット35」などが有名でしょう。
市場の金利変動によって受ける影響はゼロで、月々の返済金額が将来もずっと変わらないため、ライフプランが立てやすいということが最大のメリットでしょう。また、同じ理由から金融機関の審査に通りやすいという特徴もあります。
一方で、下記の他の金利タイプと比較して最も金利が高いのがこのタイプです。契約時の市場が低金利であれば利用のメリットは大きくなりますが、逆に高金利のタイミングでの利用には慎重になるべきといえます。
低金利が続く2018年12月現在、多くの変動型が実質0.6%ほどの金利を提示している中で、全期間固定型では1~2%というケースが多いようです。これは返済総額では、数百万円の差になる可能性があります。
「全期間固定金利型」のメリット
- 月々のローン返済額が、完済までずっと変わらず、ライフプランが立てやすい
- 金融機関の審査に通りやすい
「全期間固定金利型」のデメリット
- 最も金利が高いタイプであり、返済総額が大きくなる
- 高金利時代には適していない
「全期間固定金利型」はこんな方におすすめ
- 金利の動向を定期的に確認することが苦手な方
- 返済額が変動する(上昇する)と、経済的に厳しい方
- 高い金利でも、月々の返済を無理のない金額に設定できる方
変動金利型
民間の住宅ローンで最も代表的なのが、変動金利型です。一般的に、半年ごとに金利を見直し、その変動幅に応じて、5年ごとに返済金額が見直されます。
銀行などの提示する「店頭金利」に対して割引(優遇)が適用され、比較的低金利であるといわれている2018年12月現在では、0.6%~0.7%というケースが多いようです。この状態が長く続けば、返済総額を最も抑えることのできる金利タイプです。
月々の支払金額の上昇幅は通常、25%を上限に設定されています。月々10万円で返済していた場合、見直し後には最高で12万5千円まで返済金額がアップするリスクがあるということです。(※これを超える分の増額は「支払わなくて良い」のではなく、あくまで「持ち越しになる」ケースが多い点に注意が必要です)
ただ、バブルの崩壊やリーマンショックを含むこの30年の金利変動を見ても、実は大きく変わった時期はなく実質固定されている、という見方もあり、正確なリスク判断には知識が求められます。
「変動金利型」のメリット
- 金利が安く、返済総額を大きく抑えられる可能性がある
- 過去の金利変動実績を見る限りでは、大幅な変動はない
「変動金利型」のデメリット
- 市場の金利変動の影響を直接受けるため、月々の返済金額が急激に増えるリスクがある
- 計算方法や条件設定が複雑であり、一定の知識がなければ正確に判断できない
「変動金利型」はこんな方におすすめ
- 住宅ローンを短期間で組める方
- ローン総額が小さく、金利の影響が少ない方
- 返済金額の上昇に対応できる経済状況、もしくは将来収入が増える予定のある方
固定金利選択型
先の2つのタイプの間をとったのが、固定金利選択型です。
選択した一定期間の金利は固定され、その期間後に金利と月々の返済金額を見直します。2年、3年、5年、10年、15年など期間の選択は幅広く、その固定期間が短いほど、その間の金利は安くなります。市場の動向をある程度読み取れる方なら、最も効率的にローンを利用することができるタイプでしょう。
一方で、変動金利のように月々の返済額の上昇幅の上限が設けられていないことが多いため、大きな変動があったときに最も影響を受けてしまうというリスクがあります。
「固定金利選択型」のメリット
- 固定と変動のそれぞれのメリットを享受できる
- 金利動向を読むことができれば、最も効率的にローンを利用できる
「固定金利選択型」のデメリット
- 上昇幅の上限が設けられていないケースが多く、返済額が膨れ上がるリスクがある
- 自分で考えて固定期間を選ぶ必要があり、一定の知識が求められる
「固定金利選択型」はこんな方におすすめ
- 金利動向のチェック負担にならない方
- 市場の動向を読む力のある方
まとめ
同じ住宅ローンでも、金利タイプによって特徴は大きく異なります。
- 全期間固定金利型
- 変動金利型
- 固定金利選択型
の3種類の金利タイプがあり、それぞれが変動のリスクと、金利の安さの点で違いがあります。
どれが優れていて、どれが劣っている、という絶対的な見方はなく、それぞれにメリットもデメリットもあるため、それらを正しく理解することが大切です。自分の性格による向き不向きもあれば、現在の市場の金利などの時期的な向き不向きもあります。
利用に際しては、もちろん各金融機関から詳しい説明があるでしょう。しかし、彼らも当然、営利目的なわけですから、あなたではなく自社に最もメリットのある方向に誘導しようとする可能性もあります(悪い意味ではありません)。このときにある程度の知識を持っているかどうかで、あなたの状況は大きく変わることになるでしょう。是非、参考にしてみてください。